薪ストーブ
火のゆらぎ、心のやすらぎ。
火を囲むという行為がなぜこれほどまでに心を揺さぶるのか。
いくつになっても、人は火というものに心を惹かれます。
昔から営みの中心には火がありました。
料理、あかり、暖をとる。
その感覚が今もなお人の心に根付いているのだと思います。
電気により生活の仕方が変わった今、火を使うことは少なくなりました。
昔の生活を覗くと、便利な時代になったモンだなあと思います。
スイッチひとつで大概のことができる、いや出来てしまう。
こんな時代だからこそ、ヒトテマをかけてじっくりと向き合うという時間が尊く感じます。
便利さを求めてひた走ってきたけれどそれはもう飽和しており、時代と共に豊かさの定義も変わってきたのでしょう。
じっくりと火と向き合い、そのゆらぎに見惚れながら薪をくべる。
お気に入りのソファに深く腰をかけ、薪のはぜる音を肴にグラスを傾ける。
薄暗い部屋が火の灯かりに照らされ、気の置けない友人や家族と語らい、時には一人そのまどろみに心を静める夜。
まるで温泉に浸かっているかのように芯から温まる体に安心感を覚える。
ただ火を見つめ、火の音に耳を傾ける、ただそれだけのことが格別の喜びと感じられます。
ただ良いことばかりではなく、薪の調達や保管場所の問題、重労働である薪割り等、解決しなければいけないことは沢山あります。
しかし火のある生活というのは、その問題すらも小さなことだと思わせてくれる魅力が確かにあります。