自然とともにある、豊かな暮らし
山の湧き水は絶えず流れ、風は木々の葉をやさしく揺らす。
朝になれば光が差し込み、夕暮れには空を美しく染め上げる。
私たちが意識しなくても、自然はいつもそこにあり、穏やかに、そして雄大に流れ続けています。
人はその大きな営みの中で生かされています。
けれど裸のままでは生きていけない私たちは、やがて「家」というもう一つの自然をつくりました。
風を迎え入れ、光を招き、雨をしのぐ場所。
本当の心地よさは自然から離れることで生まれるのではなく、むしろ自然と深くつながることで生まれるのかもしれません。
たとえば雨音を聞きながら、軒先でしっとり濡れた庭を眺めるひととき。
冬の午後、窓辺の陽だまりに身を預け、ゆったりとくつろぐ時間。
春の朝、窓をそっと開けた瞬間に流れ込む、鳥たちの澄んださえずり。
そんな何気ない瞬間に「生きている」と実感することがあります。
私たちがつくる家は、ただ外の世界から守るためのものではなく、暮らしの中に自然を溶け込ませるものでありたいと思っています。
風の通り道を考え、やわらかな光がそっと差し込むように設計する。
軒の深さを整え、木のぬくもりを大切にする。
それらは単なる機能ではなく、暮らしの豊かさを育むための工夫です。
本当の豊かさは、贅沢なものではないと思っています。
朝の光がやさしく部屋を満たし、そよ風がカーテンをふわりと揺らす。
そんな日々の中にこそ、かけがえのない幸せがあるのだと思います。
自然に包まれ、その美しさを感じ、味わいながら生きること。
家はそのための器でありたいと願っています。