日々の綴りごと

簡単に手に入らないもの

最近、ふと思うことがあります。

今の時代、ほとんどのものがとても簡単に手に入るようになりました。
服も、家具も、スマホで数多くの商品を検索し、ボタンをぽちっと押せば翌日には家に届く。

便利な時代になりました。
本当にありがたいことだと思います。

しかし、こんなとことも感じます。

簡単に手に入るものほど、なぜか心に残りにくい。

そんなこと、ないでしょうか?

反対に、わざわざ足を運んで手に入れたもの。
旅先で見つけたもの。
その場所でしか出会えなかったもの。

そういうものには、不思議と愛着がわきます。

「あの時、家族であそこに行って買ったものなんだ。」
「これ手に入れるの大変だったんだよね。」
そんな記憶と一緒に、その物は長く手元に残るんだと思います。

物の価値というのは、値段だけでは決まらない。
そこに至るまでの体験や時間も、きっと価値の一部なのだと思います。

そしてそれは住まいづくりにおいても、どこか似ているところがあるのかもしれません。

私たちは、一年に三棟だけ住まいづくりをしています。
「三棟しか建てない」のではなく、私たちにとっては、三家族とじっくり向き合う時間なんです。

住まいの話をする前に、いろいろな話をします。

どんな場所で育ったのか。
どんな景色が好きなのか。
どんな時間が心地いいのか。

家族のこと。
これまでのこと。
これからのこと。

そんな話を重ねながら、少しずつ、その人らしい暮らしの輪郭が見えてきます。
そうして、
「こういう住まいがいいですね」
という形になっていく。

だから私たちは、一年に三家族しか人生の話を聞くことができません。
決して多い数ではありませんが、それくらいの時間の流れがちょうど良いと感じています。

住まいづくりは、急ぐものではないのかもしれません。
少し遠回りをしながら、ゆっくりと形になっていく。
そこを大切に育むからこそ、その時間は住まいづくりの体験価値となり、住まいや暮らしに愛着がわくのだと思います。

もし、いつか。
ゆっくりと暮らしの話をしながら、家のことを考えてみたいと思われたら。
その時は、私たちに声をかけてください。

火を囲みながら
コーヒーを飲みながら

いろいろな話ができたら嬉しいですね。