日々の綴りごと

場所が、感じ方を変える

同じコーヒーでも、飲む場所によって味は変わると思います。

静かな山の中で飲む一杯と、
慌ただしい日常の中で飲む一杯。

豆も淹れ方も同じなのに、なぜか違って感じます。
それは気のせいではなくて、確かにそう感じるのです。

人は、場所によって感じ方が変わります。

光の入り方。
風の流れ。
音の大きさ。

そういったものが重なって、その場その空間の質をつくっています。
そして良質なそれらは、人の感覚を静かに整えてくれます。


今はどこにいても同じものが手に入る時代です。
けれど、どこで手に入れるかによってその価値は少し変わります。

たとえば、山の中で過ごす時間。
特別なことをしているわけではないのに、不思議と呼吸がゆっくりになる。
考えごとも、少しずつほどけていく。

それはきっと、その場所がフィルターになっているからでしょうね。

山の中で。
火を囲みながら。
コーヒーを飲みながら。

何を話すわけでもなく、ただ同じ時間を過ごす。
その中で、ふと、

「なんか、いいな。」

そうして出てきたその言葉は、出そうとして出てきたものではなく、自然とこぼれた一言。

そのとき、その人にとっての心地よさが、すでにそこにあるのだと思います。

場所が変わると、言葉も変わる。
言葉が変わると、選ぶものも変わる。

住まいづくりも、きっとその延長にあるのだと思います。

何かを足すというよりも、少しだけ整えること。
光と風が、ちょうどよく通り抜けるように。
ただそれだけで、人の感じ方は、静かに変わっていきます。


もしかすると、大切なことは、新しく手に入れることではなく、もともと自分の中にあった感覚を思い出すことなのかもしれません。